木ままニュースペーパー

工務店は倒産しても大丈夫?契約前に確認したい保証と5つの安心材料

2026.09.04

建築中や引き渡し後の倒産に備えて、契約前に書面で確認しておきたい保証と支払い条件

工務店の倒産リスクはゼロにできません。ただし、被害の大きさは契約前の確認で大きく変わります。見るべきは、支払い条件、完成保証、住宅瑕疵担保責任保険、施工体制、引き渡し後の窓口の5つです。創業年数や施工棟数だけでは、会社の安全性は判断できません。住宅会社の倒産ニュースを見た夜、検索窓に「工務店 倒産 大丈夫」と何度も打ち込んでいませんか。「建築中に倒産したら、払ったお金はどうなる?」「小さな会社に数千万円を任せていいの?」「保証って本当に機能するの?」。この記事では、岡山県内で地域工務店を検討している人が契約前に確認しておきたい項目を、実際の相談事例とあわせて整理します。読み終える頃には、どの会社にも同じ質問を投げられる状態になっているはずです。

【この記事のポイント】

  • 倒産リスクは消せないが、支払い条件と完成保証で「お金の被害」は小さくできる
  • 瑕疵保険と完成保証は別物。「保険に入っているから安心」は半分誤解
  • 創業年数より、自分の契約に適用される保証を書面で出せるかどうかで判断する

この記事の結論

  • 前払いが工事の出来高を大きく上回る契約は避ける。
  • 完成保証は「あり」の一言でなく、加入の有無と保証書の発行まで確認する。
  • 住宅瑕疵担保責任保険の対象は原則、引き渡し後の主要部分。建築中の倒産は完成保証の領域。
  • 会社の安全性は社歴でなく、質問に書面で答えられるかで測る。
  • 1社で即決しない。同じ質問を2〜3社にぶつけて比較する。

建築中の倒産が怖い人が、まず見るべき「お金の流れ」と2つの保証

支払いスケジュールと出来高のバランスを見る

最初に確認したいのは保証よりも支払い条件です。注文住宅の支払いは、契約時10%、着工時30%、上棟時30%、完成時30%のように分割されるのが一般的。問題は、この割合が実際の工事の進み具合と釣り合っているかどうかです。

支払い済みの金額が出来高を大きく上回った状態で会社が倒産すると、残りの工事を別会社に頼む資金が足りなくなります。逆に、支払いが出来高と釣り合っていれば、被害は「工事が止まる期間」と「引き継ぎの手間」に近づいていきます。同じ倒産でも、契約書の数字ひとつで結果が変わるわけです。

背景として、住宅業界の経営環境が楽ではないことも知っておいて損はありません。日銀の地域経済報告では、資材価格の高騰と人件費の上昇で建築コストが増え、注文住宅の新規受注が低迷していると報告されています。正直なところ、どんなに評判のいい会社でも「絶対に潰れない」とは言えない時代です。だからこそ、社歴ではなく契約の中身で備える。この順番が大切です。

2025年の秋、総社市で相談を受けた30代のご夫婦(お子さん2人)は、他県の住宅会社の倒産ニュースを見て検討を止めていました。木ままのスタッフが最初にしたのは、安心してもらう説明ではなく、支払い予定表と工程表を並べて「この時点で払っている額と、建っている状態」を一つずつ照らし合わせる作業でした。ご主人は「数字で見ると、怖さの正体が分かりますね」と話していました。不安は消すものではなく、分解するもの。そう感じた場面です。

完成保証は「あり」の一言で済ませない

完成保証は、住宅会社が倒産などで工事を続けられなくなった場合に、代わりの施工会社の紹介や追加費用の一部を支援する制度です。建築中の倒産に備える保証は、実質的にこれが本命になります。

ただし、よくあるのが「完成保証あり」という説明だけで話が終わっているケース。確認すべきは次の点です。自分の契約でその保証に加入するのか。保証書は施主宛てに発行されるのか。保証の限度額はいくらか。前払金や増加工事費は対象に含まれるのか。対象外の費用は何か。制度によって条件はかなり違います。

ケースによりますが、会社として制度に登録していても、1棟ごとの加入は任意という仕組みもあります。「登録している」と「あなたの家が保証される」は別の話。ここを曖昧にしたまま契約すると、いざという時に保証書が存在しない、という事態もあり得ます。

瑕疵保険は倒産対策ではなく「引き渡し後」の備え

住宅瑕疵担保責任保険を「倒産しても安心の保険」と理解している人は多いのですが、実は役割が違います。この保険は住宅瑕疵担保履行法に基づく仕組みで、新築住宅を引き渡す事業者には保険加入または供託による資力確保が求められています。対象は原則として、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分。つまり、完成して引き渡された後の重大な不具合に備える制度です。

工事途中の倒産をカバーするのは前述の完成保証で、瑕疵保険に入っていても完成保証が自動で付くわけではありません。一方で、引き渡し後に事業者が倒産した場合、瑕疵保険では施主が保険法人へ直接請求できる仕組みが用意されています。つまり2つの保証は、建築中と引き渡し後で守る範囲を分担している関係です。保険付保証明書の発行と、倒産時の直接請求の流れまで確認できれば十分でしょう。

ここまで読んで、手元の見積書や契約書案に支払い割合や保証の記載が見当たらないなら、契約前の今がまだ間に合うタイミングです。疑問を箇条書きにして相談に持ち込めば、30分でかなり整理できます。木ままの相談(https://www.kimama218.jp/soudan/)でも、他社と契約予定の方の書面チェックの質問を受けることがあります。

岡山で工務店を比較した夫婦が、契約前に確認したこと(判断基準5つ)

どの会社にも同じ質問をする。判断基準は5つ

倒産への不安は、会社を疑うことではなく、確認の技術で扱うのが現実的です。次の5つは、どの工務店にもハウスメーカーにも同じように使える公平な判断基準です。

1つ目、支払い条件。前払いの割合と、工程ごとの支払いが出来高に対応しているか。2つ目、完成保証。加入の有無、保証書の発行、限度額と対象外費用。3つ目、住宅瑕疵担保責任保険。保険か供託か、倒産時に直接請求できるか。4つ目、施工体制。誰が現場を管理し、検査は何回あるのか。5つ目、引き渡し後の窓口。定期点検の頻度と、万一会社がなくなった場合に保証がどうなるか。

この5つを紙に書いて、候補の2〜3社に同じ順番で質問してください。1社だけの説明を聞いて決めるのはおすすめしません。同じ質問への答え方を並べると、会社の姿勢の違いが驚くほどはっきり見えます。

ある夫婦が比較にかけた2カ月の記録

2026年の春、倉敷市の40代のご夫婦(小学生のお子さん1人)は、工務店2社とハウスメーカー1社を並行して検討していました。きっかけは、知人の家づくりが会社の経営悪化で中断したという話。見学会で木ままに来られた時も、「小さい会社ほど丁寧というけれど、それとお金の安全は別ですよね」と、最初は半信半疑の様子でした。当然の反応だと思います。

1カ月目は3社から資料と見積もりを集め、先ほどの5項目を一覧表にする作業。2カ月目に各社へ質問をぶつけたところ、回答には差が出ました。A社は「保証はあるので大丈夫です」と口頭のみ。B社は完成保証の登録は説明できたものの、保証書の発行は「確認します」のまま。木ままは支払い条件の調整余地と、完成保証・瑕疵保険の書類一式をその場で提示しました。奥様が表の空欄を埋め終えたのは、検討開始から9週目だったそうです。

最終的に選ばれた理由は「答えの速さ」ではなく「書面の量」

このご夫婦が最終的に契約を決めた理由は、性能でもデザインでもなく、「質問した項目が全部、書面で残ったこと」でした。スタッフの説明がうまい会社より、証拠が手元に積み上がる会社。倒産という起きるかどうか分からない事態への備えは、結局そこに行き着きます。

引き渡し後、ご主人から「契約書のファイルを見返す回数が減りました」と連絡がありました。派手な感想ではありません。でも、確認済みのことを思い出して不安になる時間が減ったというのは、家づくりの満足度として案外大きい変化です。

迷っているなら、断る前提でもいいので複数社の見学会に足を運び、5項目の質問を試してみるのがおすすめです。木ままの見学会(https://www.kimama218.jp/event/)でも、構造や保証書類の質問は歓迎しています。質問して嫌がられたら、その反応自体が判断材料になります。

よくある質問

Q1. 建築中に工務店が倒産したら、支払ったお金は全額戻りますか?

A1. 全額返金は期待できません。被害額は「支払い済み額−出来高」に近づくため、前払いを抑えた契約と完成保証の有無が実質的な防御策になります。

Q2. 完成保証と住宅瑕疵担保責任保険の違いは?

A2. 完成保証は建築中の倒産に備えて工事の完成を支援する制度、瑕疵保険は引き渡し後の構造・防水の重大な不具合に備える制度です。守る時期が違うため両方の確認が必要です。

Q3. 創業何年以上なら安心といえますか?

A3. 年数だけの基準はありません。創業50年でも経営状況は外から見えないため、社歴は参考程度にし、支払い条件と保証書類の確認を優先してください。

Q4. 契約時の前払いはどのくらいが目安ですか?

A4. 契約時は総額の10%前後が一つの目安です。着工前に合計40%を超えるような前倒し要求があれば、理由と出来高との対応を必ず書面で確認しましょう。

Q5. 引き渡し後に会社が倒産したら、瑕疵保険は使えますか?

A5. 使えます。事業者倒産時は施主が保険法人へ直接請求できる仕組みがあり、対象は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分です。保険付保証明書を保管してください。

Q6. 「60年保証」の会社なら倒産しても安心ですか?

A6. いいえ。長期保証は会社が存続し、有償メンテナンスなどの条件を満たして続く仕組みが多く、会社がなくなれば独自保証は原則失われます。法定の瑕疵保険部分と分けて考えてください。

Q7. 工務店に財務状況を聞いても失礼になりませんか?

A7. なりません。数千万円の契約なら当然の確認です。決算内容そのものより、支払い条件の調整や保証加入に応じるかどうかで誠実さを判断できます。

Q8. ハウスメーカーなら倒産の心配は不要ですか?

A8. 大手でも経営統合や事業撤退はあり得ます。会社の規模を問わず、完成保証・瑕疵保険・支払い条件という同じ基準で比較するのが公平で確実です。

Q9. 契約直前ですが、今から保証の確認をしても間に合いますか?

A9. 間に合います。契約書に署名する前なら支払い条件の交渉も可能です。むしろ契約前が唯一の交渉タイミングなので、1週間かけてでも書面確認を済ませてください。

まとめ

工務店の倒産は、確率は低くても影響が大きい出来事です。だからこそ「大丈夫だと信じる」のではなく、「起きても被害が小さい契約にしておく」という考え方が役立ちます。支払い条件を出来高に合わせ、完成保証と瑕疵保険の役割を分けて確認し、書面で残す。この手順は、どの会社と契約する場合でも変わりません。

この記事のまとめ:要点3つ

  • 倒産の被害は「支払い済み額−出来高」。前払いを抑えた支払い条件が最大の備え
  • 建築中は完成保証、引き渡し後は瑕疵保険。加入の有無と保証書の発行まで書面で確認
  • 社歴で信じず、5つの判断基準で2〜3社を比較。書面で答える会社を選ぶ

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