木ままニュースペーパー

築40年はリフォームと建て替えどっち?総額と構造調査で決める分かれ道

2026.08.28

築40年の家を直すか建て替えるか、現況調査で構造と断熱を確かめてから決める手順

築40年の家は、築年数だけでリフォームか建て替えかを決められません。判断材料は建物の現況です。基礎・構造・断熱・配管の状態と、これから住む年数を調べれば、答えは絞り込めます。手順は「現況調査→全面改修案と建て替え案の総額比較→決定」の三段階。この順番を守るだけで、判断のぶれは大きく減ります。逆に、調査の前に金額のイメージだけで決めると、工事が始まってから追加費用が膨らみます。

夜、検索窓に「築40年 リフォーム 建て替え」と打ち込んでは閉じて、また打ち込む。「直せるなら直したい」「耐震や断熱まで直すと建て替えより高いのでは」「そもそもこの家、あと何年もつのか」。頭の中はこの三つの往復ではないでしょうか。この記事では、総社市・岡山市周辺で築40年前後の住まいを調査してきた工務店の立場から、現況調査で確かめる項目と、総額を並べて決める手順を具体的に書きます。

【この記事のポイント】

  • 築40年は「直せるか」ではなく「いくらかけて何年住むか」で判断する
  • 基礎・構造・断熱・配管の現況調査が、すべての比較のスタートライン
  • 全面改修案と建て替え案を、解体費や仮住まい費まで含めた総額で並べる

この記事の結論

  • 築年数だけで結論を出さない。現況調査が先。
  • 1985年前後の家は新耐震でも、2000年基準は満たさないことが多い。
  • 断熱・配管・屋根は築40年でほぼ更新時期。部分修繕では追いつかない場面がある。
  • 全面改修の総額が建て替えの7割を超えたら、建て替えも本気で検討する。
  • 「今後住む年数×年あたり費用」で比べると迷いが減る。
  • 1社即決はしない。改修案と建て替え案の両方で見積もりを取る。

築40年の家でまず確かめる三カ所――現況調査で見る構造・断熱・配管

基礎と構造は、床下と小屋裏を開けて初めて分かる

築40年、つまり1985年前後に建った木造住宅は、1981年の新耐震基準には適合しています。ただし、木造の接合部や耐力壁のバランスが細かく定められたのは2000年。この間に建った家は、図面上は問題なくても、金物が入っていない、壁の配置が偏っているといった弱点を抱えがちです。うちのスタッフの口癖は「床下と小屋裏を見れば、その家の履歴は半分分かります」。基礎のひび割れ、鉄筋の有無、土台の含水率、シロアリの食害跡。ここは外から見えません。実は、外壁がきれいでも床下が傷んでいる家は珍しくないのです。逆に、外観が古びていても構造は健全という家もあります。見た目と中身は別物。だから調査が先なのです。調査当日は、床下点検口から進入して基礎と土台を撮影し、小屋裏で雨染みと金物を確認し、外周の基礎ひび割れを幅ゲージで測ります。所要は半日。写真を見ながらその場で説明を受けると、家の現在地が自分の言葉で語れるようになります。

断熱は年代でほぼ見当がつく、そして体感に直結する

1985年前後の家の断熱は、壁に薄いグラスウールが入っていれば良いほうで、床と天井は無断熱という例が多数派です。窓はアルミサッシの単板ガラス。冬の朝、廊下と居間の温度差が10度近くつく家もあります。よくあるのが「寒いのは古い家だから仕方ない」というあきらめですが、原因は年代相応の断熱仕様であって、直せる部分です。窓の内窓追加と天井断熱だけなら100万〜300万円程度。ただし壁の断熱まで入れるなら外壁か内壁を剥がすので、耐震補強と同時にやるのが合理的です。ここが、部分修繕を重ねるより全面改修でまとめて工事したほうが総額で得になりやすい理由です。

配管と屋根は寿命が来ている前提で見積もる

給水管・排水管の寿命はおおむね25〜30年。築40年なら更新時期を過ぎています。屋根も、瓦自体は持っても下地の防水紙は劣化しています。2025年の秋、総社市の60代ご夫婦から築42年の実家の相談を受けました。ご希望は「水回りだけ500万円で」。ところが床下を開けると、基礎に鉄筋がなく、浴室まわりの土台に腐朽。排水管からの漏水が原因でした。ケースによりますが、こうして調査で工事範囲が広がる例は全体の半分近くあります。先に現況を知っていれば、500万円の部分修繕に進んで数年後にまた工事、という二度手間を避けられます。屋根と外壁は足場を組む工事同士。塗装や葺き替えを単独でやらず、断熱や耐震と足場を共有するだけで、足場代20万〜30万円が一回分浮きます。

リフォームか建て替えか、総額と居住年数で決める手順

後悔しないための判断基準は5つ

建て替えより高くつくのではという不安は、もっともです。実際に逆転する例はあります。だからこそ、感覚ではなく基準で決めます。私たちが相談の場で使う判断基準は5つ。①総額(改修は耐震・断熱・配管込み、建て替えは解体150万〜200万円と仮住まい費込みで比較)、②耐震診断の評点(1.0未満なら補強前提)、③断熱改修の範囲(窓だけか、壁までか)、④間取り変更の量(構造壁を動かすほど改修は高くなる)、⑤今後住む年数。この5つは、どこの会社に相談するときでもそのまま使えます。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では空き家は900万2千戸、空き家率13.8%と過去最高。実家を放置した先の姿でもあり、住み継ぐか建て替えるかを決めること自体に価値があります。

比較した人が確認したこと――総社のご夫婦の4カ月

先ほどのご夫婦は、5月に現況調査、6月に全面改修案と建て替え案の両方の概算を受け取りました。改修案は基礎補強込みで2,100万円、建て替え案は解体・仮住まい込みで2,600万円。差額500万円。奥様は「正直なところ、両方の数字が並ぶまでは改修一択でした」と話していました。7月に県外のお子さんも交えて家族会議。あと25年住むとして年あたり費用に直すと、改修84万円、建て替え87万円でほぼ同じ。最後は無筋基礎に費用をかける不安が決め手になり、8月に建て替えを選ばれました。日銀の地域経済報告でも資材価格や人件費の上昇が指摘されており、迷って先送りするほど総額が上がりやすい局面です。数字を並べてから決める。この順番だけは崩さないでください。なお概算書を受け取ったら、耐震補強・断熱・配管更新・仮設費が入っているかを項目ごとに確認します。安く見える見積もりは、たいていこのどれかが抜けています。同じ工事範囲にそろえて初めて、比較は意味を持ちます。

最終的に選ばれた理由はケースで分かれる

逆の結論もあります。岡山市の50代の方は、お母様と二人暮らしの築38年。調査の結果、基礎は鉄筋入りで構造も健全、雨漏りは板金の谷部分だけでした。耐震補強と断熱改修、水回り更新で1,450万円の全面改修を選択。仮住まいは3カ月でした。「最初は半信半疑だったんです。古い家にそこまでかけて意味があるのかと」。引き渡しの冬、朝起きて廊下に出た瞬間に息が白くない。その一点で選んで良かったと言われました。要するに、構造が健全なら改修が有利、基礎からやり直すなら建て替えが有利。図面が残っていて雨漏りが2カ所以内なら、まだ両方の選択肢が残っています。この状態なら相談のタイミングは早すぎるくらいでちょうどいい。現況調査の申し込みは相談ページ(https://www.kimama218.jp/soudan/)からどうぞ。1社で決めず、同じ調査結果を持って複数社の提案を聞き比べるのがおすすめです。悪い所を悪いと言う会社かどうかも、そこで見えます。

よくある質問

Q1. 築40年の全面改修の相場は?

A1. ケースによりますが、延床30坪で耐震・断熱・水回り込み1,500万〜2,200万円が中心です。建て替えは解体込みで2,400万〜3,000万円台が目安です。

Q2. 現況調査の費用と所要時間は?

A2. 目視と床下・小屋裏確認で無料〜5万円程度、耐震診断は10万〜15万円前後。半日〜1日で終わります。図面が残っていると精度が上がります。

Q3. 1985年築なら新耐震だから安心ですか?

A3. 新耐震でも2000年基準前の木造は接合部に弱点が残りがちです。耐震診断の評点1.0未満なら補強検討。安心の根拠は築年ではなく診断結果です。

Q4. 断熱だけ先に直すのはありですか?

A4. 内窓と天井断熱だけでも体感は変わり、費用は100万〜300万円程度。ただし耐震や配管を後回しにすると壁を二度開けることになり、総額は増えます。

Q5. 改修が建て替えより高くなるのはどんな家?

A5. 無筋基礎、シロアリ被害、大きな間取り変更希望の三つが重なる家です。基礎からやり直す場合、改修の費用優位はほぼ消えます。

Q6. あと20年住む場合の比べ方は?

A6. 年あたり費用で並べます。改修1,800万円÷20年=90万円、建て替え2,800万円÷30年=約93万円。住める年数込みで見ると差が正しく出ます。

Q7. 住みながら工事できますか?

A7. 部分改修なら可能です。全面改修は仮住まい3〜4カ月、建て替えは6〜8カ月が目安。仮住まいと引越しの費用50万〜100万円も総額に含めてください。

Q8. 補助金は使えますか?

A8. 耐震改修は総社市・岡山市とも補助制度があります(年度で条件が変わります)。窓の断熱改修は国の補助が手厚い傾向。申請は工事契約前が原則です。

Q9. 実家が空き家になりそうな場合も同じ判断ですか?

A9. 基本は同じで、住む人と年数がさらに重要になります。岡山県の推計では2050年の高齢化率は地域により約35〜44%。誰が何年住むかを先に決めてください。

まとめ

築40年は、家の寿命ではなく判断のタイミングです。順番は現況調査、両案の総額比較、家族での決定。この三段階を踏めば、築年数のイメージや不安に引きずられずに済みます。改修と建て替え、どちらを選んでも間違いではありません。間違いが起きるのは、調べずに決めたときだけです。

この記事のまとめ:要点3つ

  • 築年数ではなく、基礎・構造・断熱・配管の現況で判断する
  • 改修案と建て替え案を、解体・仮住まい込みの総額と年あたり費用で並べる
  • 1社即決を避け、同じ調査結果で複数の提案を聞き比べる

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